何を写したいのかがはっきりしないと、いまいちの写真になる。だから余計なものをそぎ落として、シンプルな写真にする。というのは撮影の基本中の基本的な考え方。
これまでは、その「引き算」とは、ズームとか構図とかで背景を整理することなのかと思っていました。
でも、もっと深いらしい。
今回パリに行って、写真家としての収穫の一つは、モノクロ写真が美しいと思えたこと。
建物の装飾やら看板やら、パリは一目見ただけで情報量がとにかく多い。それを全部そぎ落として、美しさだけを写す。そのためにはモノクロって、結構うってつけなのです。
あるモノクロ写真は、愛だけが写る。
あるモノクロ写真は、歴史だけが写る。
あるモノクロ写真は、子どもの歓声だけが写る、という風に。
元々モノクロ写真に対して僕は否定的でした。
カラーで写す技術がある。
実際の景色もカラーだ。
何でわざわざモノクロで写すのかと。
でもパリをモノクロで撮ると、美しいのです。
いずれモノクロフィルムをカメラに詰めてまたパリに行きたいものです。