こんにちは
写したいものがど真ん中にくる構図を「日の丸写真」と言います。「避けた方が良い」と言われる構図ですが、意図してあえて日の丸構図で撮るのは好きです。
歩いていると結構こういうパターンがあります。
「カメラあるか?」
涼「うん、まあ」
「じゃ撮ってくれ」
→撮影
「ありがとう」
で、去って行く。「ありがとう」と言ってくるのはイエメン人の方です。
わざわざ見ず知らずの外人に自分を撮らせて、何が「ありがとう」なのかが意味不明。
他のイエメン人に聞くと「写真が好きだから」との答え。
こういう現象は、途上国ではわりとありますが、都会のダマスカスやアンマンではほとんどなかったです。カイロでも無いですが、貧しそうな片田舎に行くとありました。スーダンやスリランカは・・どうだったっけ。
なぜ? でも考えるに、、、
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アラブの最貧困国たるイエメンは、1日の収入が100円だの200円だのという状態で生活している人が少なくありません。
戸籍管理もちゃんとしてないので、自分が存在しているのかどうかの公的な記録はあやふやです。
ある日、役所に行って「永井涼という人間は、どこの記録をたどってもありません。あなたは存在しませんよ」と言われたら、もの凄く寂しいと思う。
かなり大雑把ですが、そういう感じ。乳幼児死亡率は高いし、平均寿命は短いし。
でもとにかく写真に撮られると、その瞬間は「自分はここにいる」という確たる証拠が残る。存在証明としての記念写真。
もし自分が風前の灯ならば、火が灯っているうちに撮って欲しいと思うんじゃないだろうか。
そんな気持ちがどこかにあって、「撮れ」と言ってくるんじゃないだろうか。と思うのです。
「思うのです」というのは、そんな深いやり取りをする語学力が無いからですが、そんなことを考えて彼らを撮っています。
彼らが「撮ってくれ」と言い真っすぐレンズを向いている以上、フォログラファーであるなら真っすぐそれに向き合って撮るのが礼儀。その時の写真は、日の丸構図で撮ろうと思うのです。
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-Ryo Nagai-
△ブログ: http://ryo-nagai.blogspot.com/
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